師走に入りクレドの騎士団の仕事が忙しくなってきた。

職務を全うしていると仲間内からは好評だ。この時期は雰囲気に飲まれ浮き足立つ人が多くなり、揉め事なんかも多くなるそうで騎士団は引っ張りだこらしい。大変そうだからついヨシヨシしてやる。怒られるかと( ﾟдﾟ)ﾊｯ!としたけれど、しかめツラのままされるがままだった。そんなクレドは珍しいのでもっと撫でたらピヨ毛が逆を向いてしまった。秘密にしておこう。

クレドは今日も朝から仕事だそうだ。抜け出せないというより忙しさを知っているからサボらないんだろう。クレドの分も頑張ろう。

昨日の探索でちょっと無理をしたみたいだ。少し目眩がする。こんなことは滅多にないのだが…と看病してくれているドギに零すと、滅多になくても実際にこうしてあったんだから受け入れてしっかり寝ろと頭まで布団を被された。少し苦しかったが、布団の重みと暖かさで、いつの間にかぐっすりと寝ていたようだ。

目を覚ますと先日別れた時のしかめっ面より堀を深くしたクレドがいた。たくさん怒られた。明日は休みになった。

休みだが、ベッドを抜け出すことは止められていないので街へ出た。繁華街は活気に溢れ、並ぶ木々にはイルミネーションが飾られ我主役といわんばかりに煌めいていた。夜になればもっと綺麗なんだろうな。ダンデリオンの皆で来るのも良いかもしれない。出店で良い燻製肉を見かけたのでお小遣いと睨めっこしていると味見をさせて貰えた。美味しかったのでお小遣いは無くなった。

心機一転。無理のないように探索を進める。無理をしているつもりは無いのだけれど、妙におこなクレドがちょっと怖い。ので、昨日の携帯用に切り出しておいた昨日の燻製肉を差し出すとはたかれた。気遣うのに叩くとかわけがわからない。

思い返せば、ユファが疲れた時もそうだった。普段は無関心な素振りなクレドは、仲間が辛そうな時、言葉は乱暴だが誰よりも気にかけていた。もしかすると今回も僕が無理をしていそうだから機嫌が悪いのかもしれない｡そう思うと申し訳なくなり携帯用の肉を差し出すとやっぱり叩かれた。どうして。ドギに相談すると「脳内で思ってることを急に行動に出すと人は混乱するぞ」とのことだった。それはそうだな…

肉を持ち歩いているとアーサーにとても懐かれる。任務に支障が出るとマクシムに怒られてしまった。ので、残りは探索後に皆に振舞った。味は保証付きだが、携帯食として食べるのと食卓でワインと共に食べるのとでは趣が異なり、とても美味しかった。そんなこんなで燻製肉がなくなった。また買いに行こう。

仕事もあるのに、探索にも顔を出すと言うクレド。お人好しは君の方なんじゃないかと揶揄ったら、テメーのが移ったのかもなと笑っていた。なぜかドキッとした

ドギからお小遣いの支給があり、燻製肉を買いに出かけた。色々目移りしてしまい……

クレドは夜も仕事らしい。探索後そのまま騎士団へ戻って行った。クレドの方が倒れてしまわないか心配だ

探索日。来ると言っていたクレドが来なかったが、忙しいのだろうと探索を開始する。探索は滞りなく進んだ。進めた内容の共有はしておこうとメモをしたためておく。

メモに返事が書かれていた。「美味しいところは残しておけよ 」だそうだ。今日も来られないみたいだな…。仕事頑張って欲しい。息の白くなるこの季節の監獄は想像を絶する寒さだった。ジュールの体の事もある、この区画は早々に切り上げることにする。

寒かった先日の探索後、発熱こそしなかったがこれ以上無理はさせられないと未成年組に冬休みが言い渡される。冬休み中毎朝運動をするとシャンテからスタンプが貰えるそうだ。僕も欲しかったので参加することにする。試しに手の甲に押してもらったスタンプはたんぽぽのマークだった。なんだかこそばゆい。

クリスマスシーズンということもあり、ダンデリオンは大繁盛だ。キリシャとジュールはしばらく冬休み、大忙しの店を臨時バイトとして手伝う事になった。車椅子のジュールに配膳の役が回ってくると、客自らがジュールの元へ取りにいくなど、優しさに満ちた空間が出来ていた。「取りに来て貰ったって割引きとかしないよ」と、辛辣なコメントを貰えると、なんだか評判らしい。

クリスマスは怪人に扮装して接客をするそうだ。ジュールの体力を考えてランチだけ営業になる。クレドはやはり仕事だそうで、クレド抜きのクリスマスになった

怪人化しての接客をするため、不意に変身が解けないよう訓練？が始まった。と言っても接客のやり方講座だが、これがなかなか奥が深い。接客には記憶力・体力・判断力など、瞬時に決断を求められる場面が多く、これが長時間となると結構な精神力を必要とした。ドギはいつも、どんな場所でどんな時でも初日でコツを掴み、要領よく何でもこなしていたけれど、…僕は無職で居させてもらってたこともあり、うん。ちょっと反省したな。

探索日。接客特訓の影響か、みんなの返事が「はい！」「今参ります！」になっていて笑ってしまった。ユファだけは普段通りで、流石本職だな。

今日の特訓はシャンテも納得の出来だったようだ。1日だけとはいえ、クオリティを求める姿勢はさすが店を任されるだけあって、とても素晴らしいな。探索と特訓の日々で忙しくしていたからか、少し疲れたようだ。早めに就寝することにする。それにしてもみんなが店員になるクリスマスが楽しみだ。

起きると夜になっていた。今日は…！営業は昼間のみのはず。やってしまった。枕元にメモがあった。「疲れが溜まっていたのね、お店は大丈夫だから、今日はゆっくり休んでね♪」。そうだ。こうなってしまった以上、今から何をしようにも気を遣わせてしまい、余計に心配をかけてしまう事になる。自分でもこの所の体調不良は理由が掴めていない…本当に疲れなのかもしれない、が、それ以上に、今、何かを、成果を、残さなければいけない。そんな強い衝動が、体の中心にあるような気がしていた。

聖夜のクレ赤くん。いいムードになれたらいいね